【882号】SOSの猿 サルが飛び、アクマが笑う。伊坂エンターテインメントここに極まる!

2018-10-28

 

「鬼うれしいー!」「鬼たのしいー!」「鬼ツイてる!!」

「鬼すごーい!」「鬼チャンス!」「鬼売れてる!」など、

新刊の『営業の鬼100則』が好スタートを切ったことで、

気がつくと、「鬼、鬼、鬼・・・」を連呼している今日この頃。

 

そのせいなのか。

不思議な〝鬼現象〟が起こり始めました。

 

実は、おとといの朝、寝起きに鏡を覗いてみると…、

なんと、な、な、なんとですね、

私の頭の上に「角が2本」生えているではありませんか!

そう、まさに、〝〟のように…👹

 

それはもう立派な黒いツノがニョキニョキと、左右に2本。

「ついに鬼が憑りついたのかー!」と驚いた私は、

寝ぼけまなこをこすりながら、顔を鏡に近づけて見れば、

たしかに、頭に角が2本。

 

「そんなバカな!」

さらにもう一度、鏡の中の自分をよくよく覗いてみると。

 

「あっ、なるほど!」

私はひとり、笑ってしまいました。

 

その角の正体とは・・・・・、

ひどい「寝ぐせ」だったのです(笑)

 

なんとも微妙なオチで…、大変失礼しました。

 

さて、新刊『営業の鬼100則』ですが、

おかげさまで、発売スタートから1カ月半、

書店での売れ行きは引き続き絶好調のようで、

なんとなんと、またまた5刷目の「重版」が決定したと、

出版社の編集担当者から吉報が入りました。

http://tsuitel.in/books/index.html

 

本当にもうありがたや、ありがたや。

 

「鬼うれしい!」があふれて止まらない

そんな読書の秋でございます!

 

 

 

以上、前置きはここまでといたしまして、

メインコンテンツに入ります。

 

本号も、お薦め書籍(684冊目)として、

ためになる一節を抜粋し、ご紹介いたします。

 

本日のテーマは、【原因分析】です。

 

お役に立ちましたら幸いです。

それでは、どうぞ!

↓↓↓↓↓↓↓

私の本よりためになる「お薦め書籍」シリーズ No.684

『SOSの猿』

サルが飛び、アクマが笑う。

伊坂エンターテインメントここに極まる!

伊坂幸太郎 著

中公文庫

 

 

 

「プログラムにバグが混入する原因には、大きく二種類があります」

昼休みが終わり、釜飯屋から職場に戻ってきた五十嵐真は会議室にいた。机でプログ

ラマーと向き合い、そう言う。

「あの、早くしてください」女性プログラマーはあからさまに不機嫌だ。腕時計を何度も

確認し、椅子にもまっすぐ腰掛けていない。

都内の、三十五階建てオフィスビルの十階、清潔感が漂うというと聞こえはいいが、実

際には、無機質で無菌の病院のようだった。

会議室には、テーブルがいくつも並び、キャスター付きの間仕切りがあり、いくつもの

打ち合わせが行われている。

女性プログラマーは早く自分の仕事場、端末の前に戻りたくて仕方がない。

何しろ単体試験の期限が迫っている。平日は深夜まで残業し、土日の休日の返上し、恋

人の男性とは電話で喋る時間すらない。髪を切りに行く時間もなければ、日々、化粧を落

とすのもままならないような状態だ。

「原因には大きく二種類があるんです。『うっかり』と『思い込み』です」淡々と説明す

る五十嵐真は、眼鏡をかけ、生真面目な学者風であるから、向かい合うプログラマーは自

分がロボットであるかのような気分になる。どうしてこの忙しい状況の中、悠長に、「バ

グには二種類の原因があります」などと指導されなくてはいけないのか理解に苦しむ。

彼女は、「はあ」としか言えなかった。

「うっかり、とはつまり、不注意でミスをした場合です。1とキーボードを叩くべきとこ

ろを2と叩いてしまっただとか、不等号の向きを誤ってしまっただとか、そういうことを

指します。もっと簡単に言えば、佐藤さんに対して誤って、斉藤さんと声をかけてしまっ

た場合が、うっかりです」

「うっかりミスにしても、苗字を間違えられたら寂しいでしょうね」女性プログラマーは

興味がなさそうに、適当に相槌を打つ。「ねえ、そう思わない? イガグリさん」

「五十嵐です」

「あ、ついうっかり」

五十嵐真はそのような嫌味にはまるで、動じない。納期に追われたプログラマーが、品

質管理の五十嵐真に好意的でないのはいつものことであるし、五十嵐真の融通の利かな

い性格が相手を苛立たせるのもよくあることだった。あとになって彼女が、同僚たちに、

「だからわたしあいつに嫌味を言ってやったわけ」と勇ましく話をし、そのことで満足が

得られるのであれば、それはそれで有益だとさえ思った。

「一方、思い込みによるミスは、『正しい』と担当者が勘違いをして、起きたミスのこと

です。今の例で言えば、佐藤さんのことを、うっかり、斉藤さんと呼んだのではなく、斉

藤という男だと『思い込んで』いたがために、斉藤さん、と呼びかけた場合がそれです。

うっかりミスとは異なります」

「ああ、そうかもしれないですね」女性プログラマーは腕時計をまた確認する。それから

少し脚を揺すり、机の上の紙コップに手を伸ばした。彼女の貧乏ゆすりが次第にひどくな

る。

全身が震動し、頬が震え、皮膚がゴムのように大きく伸びたかと思うと、すっと縮まり、

切れ長の眼をした肌の艶々した顔に変わった。口からは踊るような舌が見える。

さすがに五十嵐真も目を見張った。

女性の顔は激しく、ぶるんぶるんと振れ、またもとの、色気の乏しい顔に戻る。

「でも、それがどうかしたんですか。うっかりミスだろうが、思い込みのミスだろうがわ

たしはバグを出しちゃいました。ごめんなさい。それでいい?」

五十嵐真は能面じみた表情で、首を横に振る。「本当の原因を調べないことには、正し

い対処ができないですから」

 

(中略)

 

「いいですか、もし、その失敗の原因が、担当者の『うっかり』にある場合、どうしてそ

のうっかりミスを誰も注意できなかったのかを調べる必要があります」

「うっかりミスなんて、防ぎようがないじゃない」

「その通りです。うっかりミスは防げません。ですから『うっかりミスには寛大に、規

律違反には厳格に』と、これは基本的な考え方であるべきです。そうしなければ、社会が

うまくいきません。得てして、その逆が多いのですが。とにかく問題はその、うっかりミ

スによる被害を最小限に抑えることです。そして一方で、うっかりミスが起きた原因をさ

らに調べる必要もあります」

「うっかりミスは、うっかりとしか言いようがないでしょ」

「いえ、そうとは言えないのです。人間が不注意になるのは環境の問題も大きいのです。

たとえば、睡眠不足」

女性プログラマーは噴き出した。「それが言い訳になるなら、世のプログラマーはみん

な困りませんよ」

「睡眠不足は、失敗の大きな原因です。眠気は脳の機能を低下させます。たとえば、NA

SAのスペースシャトル墜落も、その後の調査によって、打ち上げ関係者の睡眠不足が要

因の一つとして結論付けられました。睡眠不足による大脳皮質の機能低下は、アルコール

による機能低下と同じなんです。つまり、酔っ払って仕事をしているようなものです」

「じゃあ、もっと睡眠時間を増やせるように、って客先に交渉してよ」

「それも一つの、正しい対処です」五十嵐真は冷静に話をする。「そして、次には、うっ

かりミスがどうしてテストで発見できなかったのかを検証する必要があります」

「テストで?」

「うっかりミスは誰でもやります。問題はそれをチェック段階で見つけることです。一方、

思い込みによる失敗の場合は、対処が異なります」

「思い込みに理由なんてあるわけ?」

「ある人が、佐藤さんを斉藤さんだと思い込んでいたという、先ほどの喩え話の場合、た

とえば、その人の背中には『SATOU』と刺繍がしてあるけれど、どういうわけか、糸が

ほつれ、『SAITOU』と読めたのかもしれない。だとすればそれが思い込みの原因で

す」

「背番号みたいに名前を縫ってたら、それだけで有名人ですよ。むしろ、『佐藤さんって、

ほらあの名前を縫っちゃってる奴ね』って印象深くなりますよ」

「喩え話ですよ」「知ってますよ」

「そうだとすると今度は、思い込みの範囲を調べる必要が出てきます。つまり、佐藤さん

を斉藤さんだと思い込んでいるのはその彼だけなのか。もしくは、他の人間も思い込んで

いるのか。この刺繍が原因であれば、他の人間も思い込んでいる可能性が高いわけですし、

刺繍を見たことのある人間を全員、疑う必要があります」

「そしたら他の人間にも、『つかぬことをお聞きしますが、佐藤さんの名前を斉藤さんだ

と思い込んでいないですか』って確認して回るわけ?」

「その通りです。それが品質管理の仕事です。五十嵐真はうなずく。「つまり、思い込み

が原因でバグが混入したのだとすれば、他にも思い込んでいる人間、思い込んでいる箇所

があるのではないか、と調べるわけです。たとえば、設計書の書き方が紛らわしいことが

思い込みの原因だと分かれば、今度は、その設計書と同様の書き方をしている設計書がな

いかを、調べなくてはいけません」

 

 

 

 

2018年10月28日(日)

 

【編集後記】

 

昨日の土曜日は、大学時代のサークルの同窓会でした。

創設メンバーである大先輩方も含め、1期~9期、総勢数十名が集いました。

(ちなみに、私は7期生)

20年振り、30年振り、なかには40年振りの再会という先輩方もいて、

一次会、二次会、三次会と、なつかしさがあふれて止まらない

そんな一日となりました。

 

つくづく思ったことは、男子も女子も、

見た目は年相応に老け込んだり、丸みを帯びた体型に変化しているものの、

ほとんどの人は、「昔と変わっていない」ということです。

 

性格、話し方、声、表情、くせ、などの特徴は、昔のまんまでした。

なかには、むしろその時代よりも「若返った」と思えるくらい、

風貌がまったく変わってない先輩もいて、ホントに驚きました

 

一次会と二次会の合間には、大学の学園祭も見学でき、

あの時代とはすっかり変わってしまった構内の風景でしたが、

ところどころにあの頃の面影が残っていて、

古きよき昭和の時代へとタイムスリップすることができました。

 

沖縄、広島、福島、長野など、遠方から泊りがけで参加された人たちも多く、

これだけの大規模なOB会は、もうこれが最後になるのではないかと思われます。

 

青春の思い出と共に、再会の感動をしみじみと胸に刻みました。

 

ではここで、サミュエル・ウルマンの詩「青春とは」の一節をご紹介します。

 

青春とは人生の一時期のことではなく心のあり方のことだ。

 

若くあるためには、創造力・強い意志・情熱・勇気が必要であり、

安きに就こうとする心を叱咤する冒険への希求がなければならない。

 

人間は年を重ねた時老いるのではない。

理想をなくした時老いるのである。

 

歳月は人間の皮膚に皺を刻むが、情熱の消失は心に皺を作る。

 

悩みや疑い・不安や恐怖・失望、これらのものこそ若さを消滅させ、

雲ひとつない空のような心をだいなしにしてしまう元凶である。

 

六十歳になろうと十六歳であろうと人間は、

驚きへの憧憬・夜空に輝く星座の煌きにも似た事象や思想に対する敬愛・

何かに挑戦する心・子供のような探究心・人生の喜びと

それに対する興味を変わらず胸に抱くことができる。

 

人間は信念とともに若くあり、疑念とともに老いる。

 

自信とともに若くあり、恐怖とともに老いる。

 

希望ある限り人間は若く、失望とともに老いるのである。

 

 

―――サミュエル・ウルマン

 

 

では、また来週号をお楽しみに!

 

 

本日も最後までお読みいただきまして、

ありがとうございました。

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早川勝

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