早川勝メール【760号】トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか 夏でも発症するおそれがある「低体温症」のメカニズムと遭難の真相

2015-08-16

 

この夏は、高校野球が面白い!

今日でベスト8が出そろい、
創設100周年で盛り上がっている甲子園も
いよいよ終盤戦へ突入です。

今年は完全な「東高西低」で
東日本勢の高校が勝ち進んでいますね。
(ベスト16の内、13校も!)
特に関東勢の快進撃が素晴らしい。

ここ数年来は、ずっと西高東低の傾向でしたから、
これもまた“異常気象”によるものなんでしょうか。

さらに最近は「打高投低」の傾向が強いようで、
逆転に次ぐ逆転の打撃戦が多く見られます。

見ているほうは楽しいですが、
投げるピッチャーは大変でしょうね。

そんなパカスカ打ちまくるバッター陣の中でも
最も注目を浴び輝いているのは…、
早実のスーパー1年生「怪物・清宮」選手でしょう!

3回戦の東海大甲府戦では、3長打・5打点と大爆発。
ついに豪快なホームランもかっ飛ばしてくれました。
1年生の1試合での打点としては、
清原(4打点)桑田(3打点)を抜く記録らしいですよ。

いや〜、一発にはスカッとしました。
感動です。

甲子園に来てから3試合連続でデッドボールと厳しく攻められ、
警戒されている中にもかかわらず、
驚異の「打率5割」も打ちまくっているわけですから、
やっぱり清宮選手はただ者じゃありません。

それでも「まだまだこんなもんじゃないない」
と、あっけらかんと言い放つあたり、
超大物の片鱗を随所に見せてくれます。

注目されてもプレッシャーを感じることなく、
「期待をやりがいに感じて野球を楽しみたい」
と言うのですから、大した高校1年生です。

カラダもビッグですが、
マウスもビッグなところがいいですね。

「お地蔵さま」っぽい憎めないフェイスもいい!

清宮パパのDNAも話題ですが、
私は数年前、父・清宮克幸氏の講演会に参加したことがあります。

あれはまだサントリー・ラグビー部の監督をされていたときのこと。
低迷していた早大ラグビー部を日本選手権で優勝させるまでの強豪チームに
大改革した取り組みについて拝聴することができ、
指導者としての在り方を学ぶ、素晴らしい時間となりました。

きっとそのマインドは息子へも継承されているのでしょう。
息子・幸太郎君の言動を見ていると、
大物感がたっぷりでワクワクしてきます。

そこで私は、この夏のブームに乗り遅れてはいけないと、
早速、「生・清宮幸太郎」を見てきました。

甲子園へ、ではありませんよ。
西東京地区予選の準々決勝を応援しようと、
いざ「神宮球場」へ。

運のいいことに、ちょうど空いていたバックネット裏の特等席にて
清宮選手のタイムリーヒットを「目撃」することができました。

会社帰りに立ち寄ったため、
第4試合の途中からのナイター観戦となりましたが、
「生ビール」を飲みながらの「生キヨミヤ」は、
ホント最高でしたね。

なぜ、慌ててこの日の準々決勝を観戦しに行ったかといいますと、
きっと次の準決勝では日大三高に負けるだろうと思ったからです。

しかしながら、そんな心配をよそに、
優勝候補の日大三高を破り、
決勝では強豪東海大菅生に大逆転勝ちと…、
これはやはり、「持っている」とか思えません。

まだ、1年生。
これからの活躍が本当に楽しみです。

リトルリーグ時代の清宮選手には、
「“8打席”連続ホームラン」
という大記録があるらしいですから、
甲子園でも連戦連発を期待したいところです。

“リトル132発”など、規格外の伝説は数々あれど、
「まだまだこんなもんじゃない」
というのは真実味を帯びてきました!

さあ、大きく羽ばたけ!

未来のスーパーヒーロー! 清宮幸太郎!!!

 

 

と、前置きはこれくらいにして、

メインコンテンツに入ります。

今週も、624冊目のお薦め書籍の中から、
ためになる一節を抜粋し、ご紹介いたします。

文中に、清宮克幸氏が兄のように慕う
故・奥克彦大使が登場します。
早大監督時代のスローガン「アルティメット・クラッシュ」は、
奥氏によって名付けられたものらしいですね。

本日のテーマは、
【先入観の恐怖】
です。

お役に立ちましたら幸いです。
それでは、どうぞ!
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私の本よりためになる「お薦め書籍」シリーズ No.624
「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」
低体温症と事故の教訓
夏でも発症するおそれがある「低体温症」のメカニズムと遭難の真相
羽根田治・飯田肇・金田正樹・山本正嘉 著
ヤマケイ文庫

イラク北部に住む反政府組織・クルド族は、
これを機会に蜂起して政府の転覆を謀ろうとし、
その後押しをアメリカがした。

まだ精鋭部隊が残っていたイラク軍が、
この蜂起に逆襲をかけたために、
二〇〇万人のクルド人は
イランとトルコの国境に大量の難民となって逃れた。
三月のまだ寒い時期だった。

湾岸戦争に資金しか出せなかった日本は名誉挽回とばかり、
国際緊急援助隊の医療チームをいち早くこの地に送った。
まだ国連の難民高等弁務官事務所も、
難民受け入れ体制が整っていない時期だった。

医療実働隊の第二陣の医師三名、看護師六名、
調整員四名の計十三名がイラン入りしたのは、
難民が流入してから一週間後のことだった。

首都テヘランから八〇〇キロ北西部にある
イラクとの国境に接するナガデー村周辺の荒野には、
二十四万人の難民が着の身着のままの状態で
路上生活を強いられていた。

後手に回った国連の援助が行き届かぬまま、
私は一週間後にできる国連の病院テントを任されることになり、
それまではナガデー村にある唯一の病院
イマムホメイニ病院を手伝うことになった。

五十床ほどの倉庫のような作りのこの病院には、
イラン人の医師のほかに
出稼ぎのバングラデシュ人の医師がいる。
朝から押しかける難民の患者を
けっして熱心に診ようとはしない。

二階の病棟には乳児の入院患者が
二十名ほど寝かされている。
ほとんどが下痢症と呼吸器疾患だった。
部屋全体が悪臭に満ち、
ドアを開けて入るのにも勇気がいった。

朝は零下近く下がる気温だが、
煖房が充分な病棟ではなかった。

初日の夜のミーティングで看護師たちから、
今日はふたりの赤ちゃんが亡くなった、報告を受けた。
翌日もひとり亡くなり、
われわれ医者は病棟の赤ちゃんを看てくれ、と頼まれた。

悪臭のする病室では、
おとな用の一ベッドに五名の赤ちゃんが寝ている。
皺が寄りげっそりした顔、手足がやけに細く見える。

赤ちゃんのかわいらしい容姿は微塵もなく、
年をとった赤ちゃんという印象だった。
下痢が続くことによって脱水症となり、
げっそりとしているのだ。

命からがら逃げてきた母親からは、
満足な母乳が出ない。

経口補水液の投与や点滴の指示を出すが、
痩せた腕の血管に点滴の針が入らない。
針を刺しても弱々しい声で泣いている。

夜のミーティングで、最も若い看護師から
「赤ちゃんの肌が冷たい!」という発言があった。
肌が冷たい?
さっそく歩いても数分の病院へ行ってみた。

掛けてある暖かいとはいえない毛布を外してみると、
ベッドと身体の間にはゴム製のシートが敷いてある。
オムツは薄い布で、
日本にあるオムツとはほど遠いしろもので、
下痢の便とおしっこでびしょびしょに濡れている。
背中に触ると冷たい。

イランの看護師さんはオムツ替えもあまりやっていないし、
難民の母親に替えのオムツなどない。

「死因は低体温症だ」と気がついたときには、
もう十二人の赤ちゃんが亡くなっていた。

私にとって最も苦手な小児科患者とはいえ、
なぜあの赤ちゃんの肌に触らなかったのか
悔やんでも悔やみ切れないほど悔しい気分でいっぱいだった。

頻繁に換えることがない濡れたオムツが赤ちゃんの体温を奪い、
低体温症になり、亡くなってしまったのだ。
これは人為的なミスとも言える。

極限の状態で逃げて来た難民たちへの医療ではあるが、
病気そのものを治すことに眼を奪われ、
根本である体温の管理に充分な配慮ができていなかった。

死亡原因が判明した以上、
その原因を早急に改善してやらなければならない。
赤ちゃんのベッド状態を改善すること、
沐浴して身体をできるだけ清潔にすること、
オムツ交換を一日に数回すること、
下痢による脱水に充分な電解質液を補充することにした。

われわれは日本政府の援助で来ている以上、
日本大使館が全面的にこれに協力している。
われわれと共に渉外交渉の役目のために同行してくれたのは、
イラク戦争後にその復興支援に奔走中の二〇〇三年十一月二十九日、
イラク・テクリート村周辺でテロにより銃撃されて亡くなった外交官、
奥克彦一等書記官だった。

低体温症で亡くなった赤ちゃんの経緯を彼に話し、
オムツ用の布の購入をなんとかならないかと相談した。

「わかった。それはおやすいご用です。任せてください。
とりあえず、テヘランから紙オムツを送るように手配しましょう」

沐浴、紙オムツの使用は、低体温症を予防し、
赤ちゃんの回復を早めた。

われわれの医療は、病気を治す手段として薬を投与する、
手術する、リハビリテーションで機能を回復することなどに専念し、
治すことが当たり前だと思っていた。

オムツを換えるだけで命を救うということは
思いもよらなかったことで、
先入観を捨て、
現場での医療を考えていかなければならないことを
痛感した出来事だった。

 

 

2015年8月16日(日)

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